Motion T

目指すのは「小さな一流企業」——シックス・マン代表が生成AI研修に求めたのは「触る勇気」

研修の様子。受講者がプロジェクターに映したスライドを見ながら講義を受けている

概要

会社名 合同会社シックス・マン
業種 建築業界に特化したWebマーケティング(愛知県尾張旭市)
受講人数 4名(代表を含む)
受講プログラム 生成AI活用プログラム(提供:株式会社モーション・ティー)
実施 2026年9月・3日間(1日目は対面、2・3日目はオンライン)
お話を伺った方 山口 智 代表
研修の集合写真。シックス・マンの皆さんと講師陣
研修の集合写真

サマリー

課題

  • AIが便利なことは分かっていても、「取扱説明書がない」状態で、代表も社員も業務ではほとんど使えていなかった
  • 代表がコンサルタント・営業・経営など何役も担い、手が足りていなかった

解決策

  • 4名で、3日間の「生成AI活用プログラム」を受講
  • 一人ひとりが自分の業務をすべて洗い出す「業務の棚卸し」から始め、AIへの指示文づくり、自分専用のAIアシスタントづくりへと進む
  • 研修の題材は、受講者自身の実際の業務

効果

  • 4名で93の業務・月あたり合計387.7時間を見える化。うち46件・月181.2時間は、自分たちで改善に動ける業務と判明
  • 研修2日目の演習で、4名合計 年291.6時間分の作業時間の短縮を見込めることを確認(演習で測った時間を年間に換算)。3日目には受講者3名が、自分専用のAIアシスタントを計6体作成
  • AIで毎朝届く業界情報が、お客様との打ち合わせで使われる場面が増えてきたと、代表が手応えを感じている

AIが便利なことは分かっている。でも、取扱説明書がない——。

工務店やリフォーム会社など、建築業界に特化したWebマーケティングを手がける合同会社シックス・マン。代表の山口 智さんは、建築業界のWebの仕事に約20年携わってきたベテランです。それでも生成AIについては、「便利なものだと分かってはいるが、取説がないために動けていない」状態だったといいます。

同社は2026年9月、4名でMotion Tの「生成AI活用プログラム」を受講しました。一人ひとりが自分の業務をすべて洗い出す「業務の棚卸し」から始め、AIへの指示文づくり、自分専用のAIアシスタントづくりへと3日間で進むプログラムです。棚卸しでは、4名で93の業務・月あたり合計387.7時間が見えてきました。

研修のあと、AIで毎朝届く業界情報が、お客様との打ち合わせで使われる場面が増えてきたといいます。山口代表に、研修に求めていたこと、棚卸しで見えたこと、AIで目指す会社の姿を伺いました。

1. 便利なのは分かる。でも「取説がない」から動けなかった

——まず、シックス・マンがどんな会社か、山口さんご自身のお仕事とあわせて教えてください。

山口さん:大きく言えばWebマーケティングの会社ですが、特徴は建築業界に特化していることです。工務店さんやリフォーム会社さんが、Webの領域で集客力を上げたり改善したりするためのお手伝いをしています。具体的には、ホームページの制作、SNSの運用、がっつり入る集客のコンサルティング、それから自社で広報を育てるための広報育成・内製化の支援ですね。

私自身は、建築業界のWebの仕事に携わってちょうど20年ぐらいになります。20年前はスマホもない時代で、中小企業にホームページがようやく広がり始めた頃でした。個人で手がけたサイトは、だいたい1,200ぐらいです。

今は何足ものわらじを履いている状態で、コンサルタントでもあり、マーケターでもあり、営業もしますし、ディレクションやバックオフィス、経営もやっています。

——研修の前、生成AIとはどんな距離感でしたか。

山口さん:正直、今考えると、研修を受ける前は「触っている」と言えるレベルではなかったと思います。僕も社員もです。便利なものであることは分かってはいるけれど、取扱説明書がないために動けていない。そういう感覚が近かったと思います。

今は、本業も本業以外も役割が多いので時間のコントロールが必要ですし、どうしても手が足りていない。そこを、AIで少しずつ置き換えられるようになってきていると感じています。

——代表として受講を決めたとき、この研修に一番期待していたことは何でしたか。

山口さん:「これを解決したい」という気持ちとは、少し違いました。自己啓発の本もそうですし研修もそうですが、受けたからといって世界がすべて変わるほどの変化があるわけではない、というのが僕の中の前提なんです。

大事なのは、触れたあとに抵抗なく使い続けられる環境ができること。これまでは、見えないものに触る勇気がなかったから触ってこなかった。解像度が上がることで触る勇気が出て、触れる環境ができる。それを続けて、初めて本質的な成果が得られると思っていました。だから、まず「触る勇気」を手に入れることが一番の期待で、そこは本当に達成できたと思います。

2. 決め手は「何をするか」より「誰とやるか」

——数ある研修の中から、このプログラムに決めた理由を教えてください。

山口さん:経営者をやっていると、AIの研修やサービスの営業はひっきりなしに来るんです。こういう研修は受けた方がいい、というのは分かっていました。

そのうえで、何をするかも大事ですけど、誰とやるかが大事だと思っていて。内容が良さそうなのは感覚的に分かっていたので、あとは、偉そうな話じゃないですけど、人としてどうか、です。かしこまりすぎて、ガチガチな雰囲気の会社だったら、僕は結構嫌なんですよ。どちらかといえば、自分の直感ですね。

——研修の中で、特に印象に残っている場面はありますか。

山口さん:AIと人間の知能の差を生き物にたとえて考えるクイズですね。僕は「みじんこ」と答えたんですが、みんなの答えがすごく盛り上がったので、よく覚えています。

3. 無意識の作業を、仕事だと思っていなかった——4名で93業務・月387.7時間

——業務の棚卸しをやってみて、どんな気づきがありましたか。

山口さん:「自分の仕事は何?」と聞かれたとき、人は時間とエネルギーを注いでいるものから優先して挙げるんだと思います。得意なことや、やりやすいこと。逆に、苦手だからこそ時間をかけてしまっていることも挙がりやすい。

意外と落とし穴だったのは、無意識でやっている作業を、自分は仕事として見ていなかったということなんです。業務を書き出して入力すると、AIの側から「それをやるなら、他にこういう作業もしていませんか」と聞いてくれるじゃないですか。それで「やってる、やってる」というものが、実は結構ありました。

自分の中で「本質的な仕事」と判断しているものと、「仕事ではないけれど時間をかけているもの」に分かれていたんですね。それに気づけたのは大きかったです。しかも、その仕事だと思っていなかった作業こそ、意外とAIに置き換えやすいものが多かった。

——4名の業務にかけている時間が、月あたり約400時間。この数字を見て、どう感じましたか。

山口さん:約400時間って、本当にすごい数字ですよね。

同時に、もう一つ向き合わなきゃいけない課題も見えました。経営者として、社員にその時間の価値をどう認識してもらうか、です。作業が速くなっても、それでお給料に上乗せがつくわけではない社員にとっては、やり方を変える理由が見えにくい。だからこそ、AIで生まれる時間にどんな価値があるのかに、社員自身に気づいてもらう必要がある。裏の課題が一つ出てきたと思っています。

4. 毎朝届くAIの情報が、お客様との打ち合わせで使われ始めた

——研修を終えて、チームの皆さんに変化はありましたか。

山口さん:確か研修の成果発表で、ディレクターのスタッフが、毎朝8時に最新のAIやマーケティングの情報が自分のところに届くように設定した、という話をしてくれていたと思います。

最近、お客さんとの打ち合わせに僕も同席するんですが、提案の中で「今の建築業界の市場状況で、実はこういう情報があって」と、Zoomの画面共有で紹介している場面が何回かあったんです。お客さんが抱えている課題と、市場で起きていることが合っているから、この情報を出した方がいい、という判断で出している。自分から情報を取りに行くか、AIで届くように設定しているか、その違いなんじゃないかと感じています。ここ最近、そういう場面が出る頻度が高くなってきているので。

——ほかのメンバーの方はいかがですか。

山口さん:制作寄りのメンバーは、制作物のやり取りが僕を通らないので、AIをどこまで使っているかは、正直まだ確認できていません。

5. 少数精鋭の会社と、建築業界のAI内製化へ

——AIを使っていく中で、シックス・マンをどんな会社にしていきたいですか。

山口さん:社内と社外の2つに分かれます。

社内で言えば、AIで置き換えられる部分を置き換えていくことで、業務の効率が上がるのは事実としてあると思います。それが、もともと僕が考えていた会社の形に当てはまるんです。100人、200人、300人という会社は、実はまったく目指していなくて、「小さな一流企業」を目指したい。極端な話、社員10人しかいないけれど平均年収3,000万、という会社が、僕はかっこいいと思っているタイプなんです。それだけの高い収益を少人数で作り上げる要素の一つとして、AIの活用はすごく大事だと思っています。

もう一つ、うちには暗黙知の領域が結構あるんです。僕のコンサルの考え方もそうですし、ディレクターの制作物に対する考え方もそう。ここはずっと、再現性がない領域だと思っていました。もし担当者が急に動けなくなったら、事業が回らなくなるリスクもある。だから、たとえばディレクターの分身のようなものをちゃんと作っていく。そこに本人の知識がどんどん入っていって、分身も成長していく。そういう状態を作らないといけないと思っています。

社外で言えば、僕らのクライアントである建築関係の会社には、AIを取り入れることにまだ慣れていないところが多いんです。僕らが今やっている広報の内製化支援も、AIをうまく使えれば、会社の中に広報担当を立てられる環境がすごく作りやすくなる。自社の業務効率化を進めながら、AIを、お客様の会社を成長させるツールとして提案していける形が取れると思っています。

——最後に、このプログラムに興味を持っている方へメッセージをお願いします。

山口さん:必ずやった方がいい、というのがまず事実です。今のまま行けば何も変わらないけれど、やることで必ず変化は生まれます。

興味を持っている人はきっと、今の仕事の一部、なんならほとんどがAIで置き換えられるかもしれない、という期待を持っているんだと思うんです。このまま行けば取り残されていくと分かっているから、興味を持っている。やってみたら、それが一つの答えになります。

金銭的なリスクで言えば、全額ではないけれど、助成金である程度は戻ってきますよね。何かを手に入れるには、何かを差し出さない限り手に入らない。でも、その差し出すリスクが少ないわけです。だからもう、4択ですよね。やるか、はいか、イエスか、喜んでか。どれかじゃないですか(笑)。

数字で見る研修の成果

業務の棚卸し 受講した4名で93業務・月あたり合計387.7時間を見える化
自分たちで改善に動ける業務 46件・月あたり181.2時間(社外の事情に左右される業務を除く)
作業時間の短縮の見込み 4名合計 年291.6時間分(研修2日目の演習で、各自1つの業務をAIで組み直して測った時間を年間に換算)
自分専用のAIアシスタント 研修3日目に、受講者3名で計6体を作成
受講者満足度 回答した4名全員が5段階の5(研修最終日のアンケート)
推奨度(NPS) +100(回答した4名全員が「人にすすめたいか」に10点満点中10点。NPSは−100〜+100で表す指標)

プロフィール

山口 智(やまぐち・さとし) 合同会社シックス・マン 代表。建築業界のWebマーケティングに約20年携わり、個人で約1,200サイトのホームページ制作を手がける。2023年2月に同社を創業し、工務店・リフォーム会社の集客支援から広報の内製化支援までを担う。経営者団体などの活動にも力を注いでいる。

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