Motion T

「学んでいるのに、使えない」——答えは知識の不足ではなく、"AIを効かせる実務"の発見だった

岡田税理士事務所での研修当日、Motion Tの講師陣がプログラムのスライドの前に並ぶ様子

概要

事務所名 岡田税理士事務所
業種 税理士業(財務・経営支援に強み)
受講人数 全スタッフ9名
受講プログラム 生成AI活用プログラム(提供:株式会社モーション・ティー)
実施 2026年7月・1日集中研修
お話を伺った方 岡田裕生 代表
研修当日の集合写真。岡田税理士事務所の皆さんと講師陣
研修当日の集合写真

サマリー

課題

  • 生成AIの情報収集や学習はしていたが、実務で活用するまでの道筋が見えなかった
  • スタッフ間で興味・抵抗感の差が大きく、トップダウン推進の影響で若手が受け身になっていた
  • 情報漏洩など「やっていいこと・ダメなこと」の社内基準がなく、安心して試行錯誤できなかった

解決策

  • 全スタッフ9名で、業務の棚卸しから始める「生成AI活用プログラム」(1日集中研修)を受講
  • リスク教育を最初に行い、安全に試行錯誤できる土台を整備
  • 経営層から若手まで、当社独自開発の業務棚卸しソリューション「ほぐしごと」を活用し、一人ひとりが業務の棚卸しを通じて「AIを効かせる業務」を発見

効果

  • 205業務・月あたり合計約2,000時間を可視化。見えていなかった業務が約4割、AIで効率化できる業務課題118件を発見
  • 社内のセキュリティ基準を理解し、メンバー全員が"自分の実務のどこにAIを効かせるか"を特定
  • AIの話題と改善提案がボトムアップで急増し、安心して試行錯誤できる組織に変化
  • 受講者満足度は4.78/5.0

AIは学んでいる。資料も作れる。でも、日々の実務は変わらない——。

金融機関と連携した財務支援に強みを持ち、平均年齢20代後半の若いスタッフを抱える岡田税理士事務所。代表の岡田裕生さんは、生成AIの情報収集を続けながらも「実務にどう効かせればいいのか、その道筋が見えない」という壁に直面していました。

同事務所は2026年7月、全スタッフ9名でMotion Tの「生成AI活用プログラム」を受講しました。AIの基礎知識やリスクとの付き合い方を学んだうえで、一人ひとりが自分の業務をすべて洗い出す「業務の棚卸し」を行い、AIを効かせる業務を見つけるところまでを1日で行う集中研修です。この棚卸しで205の業務・月あたり合計約2,000時間を可視化。自分で書き出した内容よりも約4割多い「見えていなかった業務」と、AIで効率化できそうな業務課題118件が浮かび上がりました。

研修から約1ヶ月、社内ではAIの話題が急増し、現場から改善提案が自然に上がり始めているといいます。受講前の課題感から組織の変化、税理士業界の未来まで、岡田代表に伺いました。

1.「資料は作れる。でも、実務は変わらない」——学んでいるのに、使えなかった

——まず、岡田税理士事務所がどんな事務所か教えてください。

岡田さん:強みは財務です。前職で金融機関との窓口を一手に引き受けていた経験からパートナーシップを築き、銀行からご紹介いただく案件を中心に、顧問の先生だけでは対応が難しい事業再編やM&A、事業再生を多く手がけてきました。最近は、経営計画づくりを支援する「経営のセカンドオピニオン」のような仕事も増えています。

スタッフは平均年齢がおそらく20代後半と、非常に若い事務所です。会計業界はAIの進出でゲームチェンジが起きている感覚があるので、過去の帳簿をつけて報告するのではなく、お客様と一緒に未来を見据えていく。そこを大切にしています。

——研修の前から、生成AIの勉強や情報収集はされていたと思います。当時のAIとの距離感を、正直なところで教えてください。

岡田さん:「資料が簡単に作れるね」というところまでは来ていたと思います。ただ、実務レベルで自動化までやっている事務所の存在は知っているけれど、自分たちがどうやってそこに近づいていくのかが見えない。業界の成功事例は耳に入るんですが、そこまでの動線をどう引けばいいのかが分からない、という感じでしたね。

——組織としてはどうでしたか。スタッフのAI活用について、代表として感じていた課題は。

岡田さん:興味があって触る子と、抵抗感があってそもそも触ったことがない子と、かなりアンバランスな状態でした。保守的な業界ですし、ベテランは通常業務で忙しく、無理をしないとAIの実装を考える時間は生み出せない。「組織でAIを使っていこう」と号令をかけたこともありますが、ゴールのイメージはついても、そこへの動線が描けない。やりたいことはあるけど、どうやったらいいんだろう、という状況でした。

——つまり「知識はあるのに、実務に落ちていない」ことが、研修前から数字で出ていたことになります。この結果、実感と合っていますか。

岡田さん:合っていますね。号令をかけた後、みんな何かしらの情報収集や勉強はしていたと思うんです。ただ、実装まではやれていないので、知識レベルで終わっていた。まさにそういう状態だったと思います。

2. 決め手は「一人ひとりの業務の棚卸しから始める」設計

——研修やコンサルティングは他にも数多くある中で、このプログラムを選んだ決め手は何でしたか。

岡田さん:一人ひとりの「業務の棚卸し」から始めていく、というところが一番でした。

実は以前、全員一斉にスキルの底上げを図ろうとしてうまくいかなかったことがあり、その後は経験豊富なマネジメント層を主導役に据えたトップダウン方式に切り替えていました。それ自体は組織の進みを良くしてくれたのですが、その影響で、若い子たちがすごく受け身になってしまったな、と感じていたんです。

だからこそ、経験の浅い若手が自分の業務を棚卸しして、「なんで自分はこの作業にこんなに時間がかかるんだろう」「先輩はもっと早く終わるのに、なぜだろう」を自分で見て、どう効率化できるのかを主体的に考える。業務設計から考えるすごくいい機会になると思いました。特に若手には本当に良かったですね。

——逆に、導入前に不安だった点や迷った点はありましたか。

岡田さん:若手からベテランまで、全員に同じように気づきの機会があるのかな、という点です。ただ実際は、それぞれの棚卸しから違う結果が出てきて、各自が自分の効率化ポイントを見つけられた。講師が大勢に一斉に教える通常の集合研修では珍しい形で、一人ひとりの課題が抽出されたと思います。

——研修当日で、他に印象に残っていることはありますか。

岡田さん:リスク面の教育です。AIを導入したいと思いながら、情報漏洩や「やっていいこと・ダメなこと」への不安はずっとありました。お客様の大事な情報を扱う仕事なのに、社内で教育ができていなかった。そこをまず初めにしっかり育ててもらえて、安心して試行錯誤できる土台ができたのはありがたかったですね。

3. 見えていなかった業務は約4割——9名で205業務・月約2,000時間を可視化

研修の様子。受講者がパソコンで自分の業務を棚卸ししている
研修の様子

——この「見えていなかった業務が約4割」という数字、どう受け止めましたか。

岡田さん:ありえるな、と思いました。経験値のある側は若い子に「これくらいの時間でできるよ」と指示を出すじゃないですか。余裕を持たせて渡しているのに、大幅にはみ出してくる。その理由が、私たちにも本人たちにも分からなかったんです。その「見えていなかった部分」が本人たちに見え出したのであれば、4割という数字は納得ですね。

——棚卸しは、岡田さんご自身もやっていただきました。ご自身の発見はありましたか。

岡田さん:恥ずかしながら、経営者って、どんどんパソコンを触らなくなっていくんですよね。棚卸しをしてみて、「意外と自分は社員にやってもらっているんだ」という気づきの方が大きかったです(笑)。ほぼミーティングと面談なんですよ。

ただ、だからこそ全体を俯瞰して、会社全体のどこを効率化するか、プレイングマネージャーの社員に何を依頼するか、というスコープが見えたのは収穫です。それと、面談が仕事の中心なら、その1つひとつの質を高めたい。社員との面談履歴をAIにストックして、全体で共有・活用できる仕組みを作りたいと思うようになりました。

4. 研修から約1ヶ月——「やってはいけない」の不安が消え、提案が上がる組織へ

——研修から約1ヶ月が経ちました。意識や向き合い方に変化はありますか。

岡田さん:社内のAIの話題は、めちゃくちゃ増えましたね。「こんなことできるんじゃない?」「こういうのがあったらいいね」というのが、ボトムアップで全体から上がってくるようになりました。むしろ、やりたいこと・やれそうなことが多すぎて、どこから始めようか、というくらいです。

——以前の「学ぶけど使わない」状態と比べて、何が変わったのでしょうか。

岡田さん:大きいのは、正しい手順を学べたことだと思います。以前は、興味があって進められる子でも「これ、勝手に進めていいんだろうか」という不安があった。やっていいこと・悪いことの線引きを会社として判断できていなかったので、「いらんことをしない」方に寄ってしまっていたんです。今は安心して試行錯誤できて、「これをやりたい」という報告が上がってくる。方向性を持って進められるようになりました。

マネジメント層は、もう間違いなく変わりました。これをやっていったら会社が大きく変わる、というのが見えているので、無理してでも進んでいます。全員が実装まで到達するのはまだ先だと思いますが、やった子が結果を出すのを目の当たりにすれば、全体が動いていくと思います。

——受講後の率直な実感として、このプログラムは「何をしてくれるもの」だと、今なら説明しますか。

岡田さん:「AIに取り組んだ方がいいとは思っているけど、取り組めていない」という会社が、早い段階で受けた方がいいプログラムだと思います。経営側だけでなく作業者側も一斉に受けることで、いろんな視点が出てくる。経営者やマネジメント層からは見えない部分が洗い出されるんです。一人ひとりの棚卸しは、おそらく皆さん初めての棚卸しになる。ここに気づけるのがすごく大きかったですね。

5. AIに任せて、「人にしかできない仕事」で戦う

——税理士業界は「AIに仕事を奪われる」と言われ続けてきました。率直に、どう受け止めていますか。

岡田さん:本当にそうなると思いますし、そうあるべきだと思っています。税理士の本業はこれまで、過去の実績を記帳して申告する「過去会計」に重きがありました。でも、経営環境がこれだけ変化する中で、私たちが本来すべきなのは未来の話です。過去のデータは指標として、どれだけ効率的に分析をかけるか。そこにはどんどんAIが入ってくるべきで、未来の話ができない会計事務所は淘汰されていくんだろうな、と感じています。

——これからAIを活用して、事務所をどんな姿にしていきたいですか。

岡田さん:まずは生産性の向上です。申告書の作成のような業務はなくならないので、そこの効率化。そして進捗管理ですね。多くのクライアントの状況把握は、これまでベテランの経験値でやってきた仕事でした。ここをノウハウごとAIに載せられれば、ベテランの手が空いて、より高付加価値な仕事に移っていける。

若手にとってもそうです。ベテランの知見や過去の打ち合わせの履歴をAIに溜め込んでいけば、「今日の面談はこう進めよう」とアシストを受けられる。個人の見解ではなく、会社として持っている知見でお客様にサービスを提供できるようになる。これまで一人前まで3年、ベテランまで5年以上かかっていた育成も、早期化できるんじゃないかと思っています。

——最後に、「AIを学んではいるけど、正直まだ仕事は変わっていない」という同業の先生や経営者の方に、メッセージをお願いします。

岡田さん:AIって、レポートが綺麗に出てくるので「やった気」になっちゃうんですよ。私たちもそうでした。でも、ちゃんと学ぶと、AI活用の行き着く先は業務の自動化で、それによって人にしかできない部分に強みを持っていくことだと分かる。人が少ない中で戦う中小企業にとって、これは経営戦略そのものです。任せられるところはAIに任せて、自分たちの得意なところ、人にしかできないところで戦う。中小企業こそ、早く踏み出した方がいいと思います。

数字で見る研修の成果

AI活用レベル診断
(受講前・5段階評価)
知識・リテラシー Lv2.70(組織の強み)× 業務適用 Lv1.59(最大の伸びしろ)
AI活用レベル診断(受講後の変化)
5つの力のうち最も伸びたのは「仕組み化」=+0.40(うまくいったやり方を再利用・標準化する力)。
5項目すべてで受講者自身の手応え(自己評価)も上昇
業務の棚卸し 9名で205業務・月あたり合計約2,000時間を可視化
見えていなかった業務 個人の洗い出し比 約4割
AIを効かせる改善候補 118件(メール処理・文書作成は9名中6名の共通課題)
受講者満足度 4.78/5.0(否定的な回答ゼロ)
推奨度(NPS) +67
※推奨度(NPS)
回答者の約3人に2人が「人にすすめたい」(10点満点で9〜10点)と回答し、否定的な回答(0〜6点)はゼロ。
※推奨度を−100〜+100で表すNPSという指標では+67。一般に+50を超えれば極めて高い水準とされる

受講前後の効果比較

プロフィール

岡田裕生(おかだ・ゆうき) 岡田税理士事務所 代表。社員200名規模の会計事務所で金融機関との連携窓口を担った経験を持ち、金融機関とのパートナーシップを軸に、事業再編・M&A・事業再生など財務に強みを持つ事務所を率いる。平均年齢20代後半の若手主体の組織で、「過去会計」から未来志向の経営伴走支援へのシフトを進めている。

同じプログラムの資料を見る

資料請求お問い合わせ

何から手をつけるか決まっていない段階でも、お気軽にご相談ください。

資料請求お問い合わせ